女性医学と整形老年病学 − 骨粗鬆症学会参加報告

お知らせ
— 女性医学と整形老年病学 —
9月11日から13日まで新潟市で開催された、第28回日本骨粗鬆症学会に行ってきました。
会場は朱鷺メッセ。信濃川河口に近い新潟西港の一角にあるため、潮の香りを含む風が心地よく感じられました。

今回の学会テーマは、
『骨粗鬆症診療の多面的アプローチ — 女性医学と整形老年病学 —』
整形外科医と婦人科医の二人が共同会長を務めることもあり、整形外科的視点だけではなく女性医学の立場からの講演もたくさん企画されていました。
整形外科医を40年もやっていると、整形外科医の話は聴いたことのある内容が多くなります。婦人科の先生の話は新鮮で興味深く、ためになるものでした。

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女性は閉経の前後数年、女性ホルモンが急激に変動・減少して心身に様々な不調が現れやすくなります。骨密度が低下し始めるのもこの時期です。手指の関節の不調も多くなり「メノポハンド*」と呼ばれます。レルミナ®やジエノゲスト®という婦人科の薬を飲み始めてから関節が痛いと訴えて受診する人もいます。
*Menopausal Hand。更年期女性の手の疾患を総称する言葉*1。変形性関節症・腱鞘炎・手根管症候群などが含まれる*2。
menopausal は menopause ( 閉経 )の形容詞。
これまで整形外科医が婦人科医に患者さんを紹介することは、ほとんどありませんでした。また、その逆も然りです。この度の学会を通じて、診療科の垣根を越えたアプローチが求められる時代になっていると改めて実感しました。
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海外招待講演では学会のテーマでもある整形老年病学(orthogeriatrics)についての話が印象に残りました*3。
Orthogeriatricsとは高齢患者の運動器疾患に対し、手術的治療だけでなく内科的管理、リハビリテーション、看護、社会福祉サービスを包括的かつ迅速に提供する「総合的ケア ( total care )」のアプローチです*4。
整形外科と老年内科の連携は、大腿骨近位部骨折の治療を通して英国で発展してきたそうです。高齢者は心肺機能低下、腎機能低下、免疫能低下、代謝障害、サルコペニアなど多くの疾患を抱えています。整形外科医にとって、高齢者の術前・術後管理はストレスフルです。そこで、診療プロセス全体を通して、老年内科医との連携が重要になります。
日本では2026年9月の時点で、日本老年医学会が認定する老年科専門医は1,771人しかいません。多くは内科医で、整形外科治療をよく理解する人がどれほどいるのかはわかりません。超高齢社会の日本こそ、Orthogeriatric Managementに真剣に取り組まなければなりません。

日本老年医学会HPより
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*1 日手会ニュース 2023; 57: p.48
*2 平瀬雄一. メノポハンド (Menopausal Hand, 更年期手) . 臨整外 2024: 59; 1452-6
*3 Jacqueline Close. Orthogeriatrics and the Australian and New Zealand Hip Fracture Registry ─ Evolution and Innovation
*4 Devas MB. Geriatric orthopaedics. Br Med J 1974; 1(5900):190-2.
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