子どものケガとX線検査 ー「念のために」は必要か?

お知らせ
「念のため」の前に知っておきたいこと
学校でのケガなどで子どもさんが受診される際、多くの親御さんから「念のためにレントゲン( X線写真 )を撮ってほしい」というご要望をいただきます。骨折がないか確認して安心したいというお気持ちはよくわかります。しかし、最新の医学的知見に基づくと、医師が「不要」と判断した場合には、あえて撮影しないことがお子様の将来を守ることにつながります。
■ 1回のX線撮影の線量は「ごくわずか」
まず、四肢 ( 手足 )のX線撮影1回あたりの放射線被曝量は極めて少ないということをお伝えしておきます。
医療現場では放射線を用いる画像検査を行うにあたって「診断参考レベル(DRLs*)」という値を参考にします。それは全国の医療施設から得たデータを元に設定された、標準的な体格の患者さんが検査によって受ける線量の目安です。多くの医療施設はそれを超えないように装置を設定し、最小限の線量で最大限の診断効果が得られるよう厳格に管理しています。*1
*diagnostic reference levels
最新の国内調査データによれば、小児の手や指の撮影における入射表面線量は約0.018〜0.024 mGy(ミリグレイ) 程度です。*2
1回や2回の検査でお子様の健康に悪影響が出ることはありません。この点はどうぞご安心ください。

参考文献1よりDr.O作成
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■ それでもX線写真を控える理由
では、なぜ当院は「念のため検査」を控えるよう勧めるのでしょうか。それは、子どもの長い一生における「累積被曝」を最小限に抑えたいと考えているからです。
2025年に発表された370万人規模の調査では、累積で1〜5mGyという低線量であっても、全く被曝がない場合と比較すると血液がんのリスクが約1.41倍になることが示されました。*3
将来的にケガ以外でも、歯科のX線撮影や、より線量の高いCT検査( 頭部CT1回で約13.3 mGy )を受ける機会があるかもしれません。その時のために、今できる「不要な被曝」をカットしておくことが重要なのです。
問診と診察で重篤なケガではないと判断できる場合には、X線写真を撮らないという選択肢もあるということをご理解ください。
「レントゲンは必要ないでしょう」と言われたとき、それはお子様にとって「将来の健康リスクを一つ減らせた」と前向きに捉えてはどうでしょうか。
『 不要なレントゲンは排し、必要な検査は最小限の線量で確実に行う 』—これが当院の検査方針です。

当クリニックのX線撮影装置
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*1 医療被ばく研究情報ネットワーク(J-RIME). 日本の診断参考レベル( 2025年版 )、2025年7月7日、https://j-rime.qst.go.jp/report/JapanDRLs2025_ja.pdf. (2026-05-06 アクセス)
*2 Yagahara A, et al. Demonstration of Japanese radiographic examination codes in establishing typical values for a wide variety of general radiography examinations. Sci Rep 2024; 14(1): 2249.
*3 Smith-Bindman R, et al. Medical imaging and pediatric and adolescent hematologic cancer risk. N Engl J Med 2025; 393(13): 1269-1278.
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