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お知らせアイコン膝の痛みには “湿布ファースト”

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膝の痛み—

まずは「貼り薬・塗り薬」から

 

■ 世界が認めた『 湿布の力 』

 「階段が辛い」「歩くと膝が痛む」「しゃがめない」…

 

ひざの痛みで来院される方は毎日かなりの数にのぼります。原因として最も多いのは「変形性ひざ関節症」。

 

さて、その治療は?

 

2025年、世界で最も権威のある医学雑誌の一つ『ランセット(The Lancet)』に、最新の治療指針が発表されました。*1

 

そこでは、膝の痛みに対する「第一選択薬 (まず最初に使うべき薬 ) 」は、外用NSAIDs* ( 非ステロイド性抗炎症薬の外用剤 ) であると明確に推奨されています。
*Non-steroidal anti-inflammatory drugs

 

意外かもしれませんが「飲み薬よりも、まず貼り薬・塗り薬」。それが世界的な共通認識になっています。

 

 

   ◇◇◇

 

■ 湿布なんか気休めでしょ?

そんな声が聞こえてきます。「家にたくさんあります」「友達からもらえます」なんてことも。湿布を出しましょうと言うと、不満げな顔をする人さえいます。

 

ではなぜ、「飲み薬」ではなく「外用薬」が勧められるのでしょうか?その理由は、特にご高齢の方の健康を守る上で非常に大切な2つのポイントにあります。

 

①効果は飲み薬と変わらない
「貼り薬や塗り薬は、飲み薬より効き目が弱いのでは?」と心配される方もいらっしゃいますが、それは誤解です。

 

最新の医学データでは、膝の痛みを取る力において、外用薬は飲み薬と同等の効果があることが証明されています。

 

膝は体の表面に近い関節であるため、外から塗ったり貼ったりするだけでも、しっかりと成分が届くのです。

 

②安全性が圧倒的に高い
これが最大のメリットです。痛み止めの飲み薬を長く飲み続けると、胃が荒れる、腎臓に負担がかかる、あるいは血圧や心臓に影響を与えるといった副作用のリスクがあります。

 

一方で外用薬は、成分が血液中に溶け出して全身を巡る量が極めて少ないため、内臓におよぼす悪影響が、飲み薬と比較して劇的に低いことが分かっています。

 

すでに多くの薬を飲まれていることが多い高齢者にとって、この「安全性の高さ」こそが、外用薬が第一に選ばれる理由なのです。

 

 

   ◇◇◇

 

■ 外用薬は医師といっしょに選びましょう

日本は「外用薬」の選択肢が豊富です。
海外ではジクロフェナク製剤が主流ですが、日本には幸い、さらに多くの種類の成分や剤形が存在します。

Dr.Oの医療レポート: 2026年03月08日>>

 

貼り薬 ( テープ剤/パップ剤 ):
1日中しっかり効かせたい場合に便利です。


塗り薬 ( ゲル/クリーム/スチック/ローション ):
湿布でかぶれやすい方や、膝の裏にも使いやすいのが特徴です。

 

貼り薬も塗り薬も同じように見えて、薬剤ごとに効き方は少しずつ違います。使ってみないとわからないというのが正直なところ。

 

当院では、患者さん一人ひとりの持病や肌の状態に合わせて、最も使いやすく効果的な外用薬を一緒に選んでまいります。

 

   ◇◇◇

 

■ これから湿布が『たどる道』

ところで最近、湿布にちょっとした “ 逆風 ” が吹き始めています。

 

2026年4月28日、衆議院本会議、与野党の賛成多数で健康保険法改正案が可決されました。

 

その中の1つに『市販薬と同じ成分の処方薬について、患者さんから追加の負担をいただく』というものがあります。この制度改正で、多くの湿布が追加負担の対象になる見込みです。

 

世界の医学は「まず湿布を使いなさい」と言っているのに、
日本の制度は「湿布は市販薬でどうぞ」と言い始め、
患者さんからは「気休めだろう」と低く見られる…

 

外用薬は整形外科医にとって、まさに自家薬籠中の物。
でも最近は、少し“ かわいそうな相棒 ” でもあります。

 

 

*1 Kloppenburg M, Namane M, Cicuttini F. Osteoarthritis. Lancet 2025; 405(10472): 71-85.

 

   ◇◇◇